時計修理職人の知恵袋 |
●時計の磁気に付いて
腕時計の時間が狂ってしまう原因として、ムーブメントの故障の他に磁気帯があげられます。
機械式時計の場合、一度帯磁してしまうと時計に影響をあたえつづけます。強く帯磁すればするほど時間が大きく狂ってしまいます。帯磁してしまった時計は専用の機械でないと取り除くことはできません。
通常はムーブメント全体を一度に取り除きますが、強く帯磁してしまった場合はパーツごとに消磁させなくてはなりません。
クオーツ時計の場合、機械式時計と違って帯磁するということはあまりありません。磁気を発する物の近くに時計を置くとその時だけ時計が狂ってしまいます。毎日同じように磁気製品に近づけると毎日同じぐらい時間が狂ってしまいます。クオーツ時計を修理に持ってくるお客様の中で、磁気による時計の狂いの場合が多くあります。この場合分解掃除をしても時計自体が故障しているわけではないので修理しても同じです。
一日5分や10分位の僅かな狂いの場合や、腕に付けているときちんと動くのにしまって置くと狂っているといった場合磁気の影響をうたがって見て下さい。
日常生活の中にはたくさんの磁気製品があふれています。
テレビ、ラジオ、冷蔵庫、電子レンジ、電話、磁気ネックレス、磁気まくら、電気カミソリ、パソコンなど磁気を発する機器は増える一方です。これらの製品の近くに時計を置かないよう注意してください。
磁気に近づく機会の多い方は耐磁時計といって磁気に影響しにくい時計も発売されています。
セイコー、シチズン等のカタログには帯磁性に付いての記載がされていますのでご購入のさいには注意して見ると良いでしょう。